【手を使う仕事の落とし穴:ばね指・ドケルバン腱鞘炎のリスクと対策】
現代の職業生活では、多くの人が手を頻繁に使う仕事に従事しています。その中で「ばね指」や「ドケルバン腱鞘炎」といった腱鞘炎が問題となり、症状に苦しむ人が増えています。
これらの腱鞘炎は、手指や手首の過度な使用が原因で起こる炎症性疾患で、痛みや動きの制限を伴います。特に手を多用する職業の人たちがこの症状に悩むことが多いですが、症状が悪化するとどのような影響をもたらすのでしょうか?
今回は、ばね指やドケルバン腱鞘炎のリスクが高い職業、症状が進行した際に取られる行動、重症化した場合に起こる問題を見ていきます。
手を酷使する職業が抱えるリスク
ばね指やドケルバン腱鞘炎は、手や指を頻繁に使う職業で発症しやすい疾患です。特に次の職業がリスクが高いとされています。
① 医療従事者
看護師や歯科衛生士、医師など、患者の体を支えたり、器具を使う作業が多い職業は、手や指に大きな負担がかかります。
② 美容師
髪を切る、ブローする、シャンプーするなど、手指を使う動作が頻繁な美容師も腱鞘炎のリスクが高いです。
③ パソコン作業者
デスクワークでキーボードやマウスを頻繁に操作する人も、繰り返し動作によって手や指に負担がかかります。
④ 建築作業者や職人
工具を使う作業や力を入れて物を持ち上げる作業が多い職業も、腱に負担がかかりやすく、腱鞘炎の原因になります。
⑤ ミュージシャン(ギタリストやピアニスト)
指を細かく動かす職業は、指や手首の腱に負荷がかかりやすく、腱鞘炎のリスクが高いです。
これらの職業に従事する人々は、手指を過剰に使うため、腱鞘炎を発症しやすい傾向があります。症状が軽度であれば、手を休めることで改善しますが、悪化した場合には大きな行動を取らざるを得ないことも少なくありません。
腱鞘炎に苦しむ人たちが取る最終的な行動
ばね指やドケルバン腱鞘炎の症状が進行すると、痛みが増し、指や手の動きが制限されることから、次のような行動を取ることが多くなります。
① 医療機関を受診
まず多くの人が整形外科や整骨院を訪れ、症状に応じた治療を受けます。ステロイド注射などによる一時的な痛みの緩和を図る場合もありますが、重症化した場合は手術が必要になることもあります。
② 仕事の調整や休職
手を酷使する仕事を続けていると症状が悪化するため、作業量を減らしたり、場合によっては休職することもあります。さらに、根本的に職業を変える決断をする人もいます。
③ セルフケアとリハビリ
症状を和らげるため、日常的にストレッチや手指のエクササイズを行い、サポーターやテーピングを使って手を保護することが一般的です。
④ 代替療法の試行
鍼灸やマッサージ、カイロプラクティックなどの代替療法を試み、腱鞘炎の痛みを軽減しようとする人も多いです。
⑤ 作業方法の見直し
手指の負担を減らすため、仕事のやり方や使用する道具を工夫することで、再発を防ごうとする人もいます。
このように、腱鞘炎が悪化すると、生活全般に影響を及ぼし、根本的な改善策を取らざるを得なくなります。
ばね指やドケルバン腱鞘炎が重症化した場合に起こる事態
もしばね指やドケルバン腱鞘炎が重症化した場合、さらに深刻な問題が発生します。
① 指の動きが制限される
指が完全に曲がらない、または伸びなくなるケースが多く、指が「ロック」されてしまい、強い痛みとともに日常動作が困難になることがあります。
② 強い痛みや炎症が持続する
腱鞘部分の炎症が慢性化し、指や手首に持続的な痛みが生じるため、仕事や生活に大きな影響を与えます。
③ 筋力低下や機能不全
手の筋力が低下し、握力が失われ、物を持つことすら困難になることがあります。日常生活の中で、ペンを持ったり、ボタンを留めたりといった基本的な作業ができなくなることもあります。
④ 手術が必要になる
保存療法が効果を発揮しない場合、腱鞘切開術などの手術が必要となることがあります。手術後はリハビリを経て、回復までに時間がかかることがあります。
⑤ 慢性的な再発リスク
手術を受けても、手を使い続けることで再発するリスクが残ります。そのため、再発を防ぐためには、根本的に手の使用法を見直すことが求められます。
まとめ
ばね指やドケルバン腱鞘炎は、手を多く使う職業の人々にとって避けがたいリスクですが、症状が悪化すると大きな生活の変化を余儀なくされます。
早期の対策として、手を酷使する習慣の見直しや適切な治療を受けることが重要です。また、症状が進行する前に予防策を講じることで、より深刻な事態を避けることができるでしょう。
重症化する前に、当院へご相談下さいませ。ご予約・お問い合わせは、当院のLINEなどからも承っております。